New! 2022/08/19 国等の調査の結果、植物の粘性物質をムチンと呼ぶ「明治百五十年の大過」は、現存する学術団体(公益社団法人日本化学会、公益社団法人日本生化学会、日本医学会)による誤った日本語訳(「粘液質」「粘素」「粘液素」)=「ムチン(粘質物一般の総称和名)」を端緒とした、「(動物の)粘液(英: mucus 日: ミューカス)」の主成分「糖タンパク質(英: mucin)」と「(植物の)粘液(英: mucilage 日: ミューシレージ)」の主成分「ペクチン性多糖(英: pectic polysaccharide)」の誤認混同に由来し、『広辞苑』で知られる岩波書店が戦前戦後にかけて出版した『理化学辞典』『生物学辞典』『英和辞典』がそのインフルエンサーとなっていたと結論付けられました。
#公共メディアじゃんぬ
#明治百五十年の大過
#ムチン騒乱
#令和の改新
#公共メディア元年

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『広辞苑 第七版』

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ムチン【mucin】:

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ムチンという言葉は、当初から動物性の粘性蛋白質についていわれたもので、
少なくとも学術的には、植物の粘液についてムチンというのは誤用です。
『日本大百科全書(ニッポニカ)』の「ムチン」の項目に
ハマースタインO. Hammersteinは希無機酸によって沈殿し、過剰の酸の
添加で溶解しない動物性粘性タンパク質をムチンとよんだ(1882)。」
とあるように、19世紀末、おそらくはムチン(英語mucin)という言葉が
できた当初から、動物性の粘性タンパク質についていったものだとわかります。

植物の粘液についてムチンということが誤用であることは、北里大学理学部
の丑田公規氏が『化学と教育』誌(65巻5号、2017年)に執筆した解説に
わかりやすく書かれております(230頁)。次のURLからPDFが入手
可能ですのでご覧いただければと存じます。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/65/5/65_228/_pdf/-char/ja

当初は実体はよくわからないままに、ある性質を満たす動物性の粘性蛋白質を
ムチンと呼んでいたのですが、現在では実体に基づいた定義もなされています。
丑田氏の解説では「セリン残基またはトレオニン残基の OH 基が,単糖または
糖鎖の 1 位の OH 基と脱水縮合した「O型糖鎖」が,多量かつ密に含まれる
高分子ペプチドと定義されている」としております。
このような定義に基づいたとしても、現在のところ植物由来でムチンの定義を
満たす物質は発見されておらず、ムチンは動物の粘性蛋白質についていうもの
である点は変わりありません。

逆に、植物の粘性物質をムチンと呼ぶことの根拠や起源についてははっきりし
ません。小社の『岩波 生物学辞典』でも第2版以降、最新の第5版まで、一貫
して動物体にみられる粘性物質として記載しております。『広辞苑』の記述も
これらに基づいて動物のものとして記載しております。
*岩波書店辞典編集部 2018.1.18

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動物の細胞表面を覆う粘液に含まれる糖蛋白質。水和されるとゼリー状になる。
『広辞苑 第七版』 2018.1.12

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ニュース:

New! 『広辞苑 第七版』発売開始(2018年1月12日)

『広辞苑 第七版』特設サイトオープン(2018年1月6日)

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